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執筆者の写真石黒翔也

新規事業を成功させる -メンタル編- その1 ニーチェの超人思考

こんにちは!


エンジニア向けバーチャルコミュニケーションアプリのピクセルトークを開発・運営しています。コロナ禍でリモートワークになり便利さを実感していましたが、人との距離が広がってしまって寂しいと感じることが増えました。離れていてもオフィスにいる感覚で仕事が出来ればいいという思いからピクセルトークの開発に着手しました。


https://www.pixeltalk.app/


私自身モバイルアプリやWeb系の開発を7年経験して、2021年に起業しました。私が新規事業を成功させるために重要だと感じたことをお伝えしていきます。


なぜメンタルヘルスが重要なのか?

スタートアップとして成功するためには何が必要でしょうか?

素晴らしいアイデア?

優秀なエンジニア?

鮮麗されたデザイン?

売れる営業マンでしょうか?

いいえ、答えはどんな困難なことがあっても決して諦めない鋼の精神力なのです。

なぜなら、創業者のあなたが諦めてしまえば、そのビジネスは決して成功することはないでしょう。

このページを見に来てくれているということは、あなたは何らかのビジネスを始めたいと思っていることでしょう。

まず大前提として、新しいビジネスを始めるということは、とても困難なことをしようとしています。

なぜならば、製品開発だけではなく、マーケティング、営業、広告、経理、その他全ての業務をあなた自身が全て担わなければいけないからです。


私自身、独立してから最初に開発したサービスは3ヶ月でユーザー登録数が100人ほどしか出ませんでした。そして、DAU(デイリー・アクティブ・ユーザー)は3人ほどしかいませんでした。「これは絶対に成功する!」と企画を考えていた当初は思っていたものです。しかし、いざリリースしてみると誰にも使われることがなく、本当にこのままでいいのかという不安が常に頭をよぎるようになり、気づけばサービスを閉じていました。


その時のことは、こちらの記事で紹介しているのでぜひ見てみてください。




ニーチェの超人思考

私はニーチェの超人思考が大好きで、何か諦めてしまいそうになったり、やる気がなくなってしまった時、絶対に思い出します。そしてこう思うのです。

ああ、そうだった。今この瞬間は後にも先にも2度と訪れないんだ。80歳になった時に後悔をしても遅いんだ。今すぐに行動しなければいけない。

「神は死んだ」

これは天才哲学者のニーチェが放った言葉です。



この「神は死んだ」とは一体どういう意味なのでしょうか。


その昔、宗教、特にキリスト教が大きな力を持っていた時代であれば、物事の善悪は全て"神"により決められていました。

そのため人々は、神を信じて良い行いをしてさえいれば、死後の世界でも安全に暮らすことができるとして疑わなかったのです。

「神を信じていれば幸せな人生を送れる。」そう思っていたのです。


しかし現代はどうでしょうか?科学が発達し「神なんているわけないじゃん」と思う人も大勢出てきました。「神を信じていれば幸せな人生を送れる。」と思っていた人々も、そのすがる神を失ってしまい絶望してしまいます。


日本に例えるならば、高度経済成長期の頃は会社にしがみついていれば何とかなるという絶対的な安心感があったが、今やそのようなことは決してありません。


「神は死んだ」とは、このような絶対的な心理がなくなってしまったことを指しています。


末人

このように人々はすがる神がいなくなって絶望してしまいます。

すると人は「今生きている世界、特に過去および現在における人間の存在には意義、目的、理解できるような真理、本質的な価値などがない」と考えてしまいます。

このような考え方の持ち主をニヒリズムと呼びます。

そして、ニヒリズムに毒に浸かり、1日をただ茫然と過ごしてしまう人のことを末人と呼びます。


ニーチェは、この末人だけには絶対になるな!と警告をしています。


超人

超人とはニヒリズムを克服し、不屈の精神力、力強い意思を持ち、自らの人生を肯定し、より高みへと登ろうとする存在のことを言います。


例えば、いい大学を出て、いい会社に就職して、結婚をして、子育てをする。

このような人生が一般的には良いとされています。


しかしどうでしょうか?

そこにあなたの意思はあるのでしょうか?

あなたの成し遂げたいことはなんですか?

何のために大学に通っているのですか?

何のためにその会社で仕事をしているのですか?

そこにあなたの意思はありますか?


親にこの大学に行けと言われて行ったのですか?

親にこの会社に就職しろと言われて就職したのですか?


あなたがあなたの人生を生きなければ、いったい誰があなたの人生を生きてくれるでしょうか?


ニーチェは人間という生き物についてこう言っています。


人間という生き物は、動物と超人との間に張り渡された一本の綱である。渡って彼方に進むのも危うく、後ろを振り返るのも危うく、立ち尽くすのも危うい。

この言葉は、人間が進化の過程において動物から超人へと進むべき存在であるというニーチェの思想を示しています。

ニーチェにとって「超人」は、自己の価値観を生み出し、自己実現を達成することができる理想的な存在です。

そして、この進化の道程が困難であることを示しています。

過去(動物性)に固執すること、未来(超人性)に向かって進むこと、現在の状態に留まること、全てにおいてリスクと挑戦が伴います。


しかし、過去に囚われていてはダメなのです。

80歳になった時に後悔しても遅いのです。

痛みを伴うかもしれませんが、それでも未来(超人性)に向かって我々は進まなければいけないのです。


電気自動車のテスラを創業したイーロン・マスクや、堀江貴文さん、孫正義さんなどの人物がまさに`超人`と呼ぶに相応しい人物です。彼らは自らが行うことを自分で決め、それを実行しています。そして過去に囚われることもなければ、未来に悲観してもいません。`今ここ`を生きている、そのような人物を超人と呼びます。


超人への道程を表現する三段階のモデル

ニーチェの超人への道程を表現する三段階のモデルは、彼の思想の核心部分を示しています。それぞれの段階は、個人が自己実現を達成するために経験し、克服すべき挑戦を表しています。


第一段階:ラクダ

ラクダの段階では、個人は「重い荷物」を背負います。これは社会から課せられる各種の義務や規則、学校での勉強、仕事の責任など、社会的な期待に対する耐性を示します。この段階では、忍耐力と鍛錬が重要となり、自己成長のための基礎を築くことが求められます。



第二段階:獅子

獅子の段階は反抗と独立の象徴です。個人は既存の価値観、権力、社会的常識に対して「ノー」を言う力を持ちます。これは自由と自己主張の追求を示し、個々人が自己の価値観と意志に従う勇気を発揮する段階です。



第三段階:幼な子

最後に、幼な子の段階では、個人は自らの想像力と創造性に身を委ね、新たな価値観と意味を生み出します。これは、世界を無条件に肯定し、完全な自由と遊びの精神を享受する段階です。幼な子は過去の束縛から解放され、現在の瞬間を完全に生き、新たな未来を創造します。これこそがニーチェが理想とした「超人」への到達点です。

子供は5分前に興味があったことをすぐに興味がなくなってしまい、すぐ新しいことに興味が移ります。まさしく、「今ここ」を楽しんでいるのです。

永劫回帰

永劫回帰とは、「同じ人生を永遠に繰り返す」という仮説です。

同じ人が同じ人生をループし続けるのです。

ここで大事なのは「同じ人生を」と言う部分です。

生まれた場所から死ぬ場所まで、付き合う人や、職業、食べるものまで全て同じ人生だったと仮定した場合の話です。


よく勘違いされるのは、仏教では「輪廻転生」という概念があります。

これは人間が死んでしまったら、他の生物として生まれ変わるという考え方です。

ですが、永劫回帰はあくまで仮説であり、本当にそうだと信じることではありません。


ニーチェはこの「永劫回帰」を「最大の重し」と表現しました。

なぜならば、仕事、恋愛、仮定、誰にでも忘れ去りたいことの一つや二つあるでしょう。

辛かった日々、悩み抜いた日々、そういった苦しいことが永遠に繰り返されるなんて、想像したくもありませんから。


永遠に同じ人生を繰り返したいか?

さて、それでは本当に「同じ人生を永遠に繰り返す」と想像してみてください。

そうした時に、

  • 永遠にネガティブで否定的で不幸な人生

  • 永遠にポジティブで肯定的で幸福な人生

あなたはどちらの人生を送りたいですか?

「永遠にポジティブで肯定的で幸福な人生」であれば、永遠に同じ人生を繰り返してもいいですよね。


ではどうすればいいでしょうか?


ニヒリズムを克服せよ

不安、恐怖、嫉妬など、人生を悲観的にしか捉えることができなかった自分を脱するのです。新たに強い自分に生まれ変わる覚悟を決めるのです。


苦しい人生を目の前にしても、これこそが人生なのか、だったらもう一度かかってこいと、勇気を持って立ち向かうのです。今生きているこの瞬間を、これこそが私の人生なのだと自信を持って肯定するのです。


あなたの過去に何があったのかは関係ありません。そして未来を悲観する必要もありません。

「今ここ」を精一杯生きるのです。


ニーチェはこう言いました。

たった一度でいい。本当に魂が震えるほどの悦びを味わったことがあるなら、その人生は生きるに値する。
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